2004年09月22日(Wed) 搾取される著者 [長年日記]
● 出張先で著作権に関するセッションに参加してきました
最近問題になっている盗用に関するもの、ということで、Momongaに参加している*1身としては気になります。参加してきました。
現われたのは、一般向けに売られている科学専門誌の一つの編集長をしておられる方。テレビにも出ていたり、「有名人」なのだそうです。司会はその雑誌の編集委員もしておられる方。
編集長の方の議論のポイントは二つ。
(1)他の人の著作物を勝手に出版するのは盗用である。ふむふむ。そうだよねぇ。編集長の方は、ある教科書の監修を頼まれて見てみると自分の書いた文章が盗用されていたそうです。でもなんだかごちゃごちゃ理由をつけて、監修から降りるだけで訴えるなどということはされなかったそうです。そして教科書はそのまま売られているそうな。変なの。
(2)自分が雑誌に発表した文章をそのまま他の場所で公表するのは盗用である。え゛。そうなの?編集長の方の議論によると、そういう行為は、読者に対する裏切りである、と。自分の書いたものなのだからどうしようと勝手なのは誤解なのだ、と。司会の方はそういう行為は著作権法違反だとまでおっしゃっていました。
著作権法は著者に著作権を認めてるんじゃなかったっけ?そして契約によって著作権の一部を他社に譲ることができる、と思ってたのですが。そう質問したのですが、それに対して明確な回答はしてもらえず、出版社が著作権を持っているのだから著者はそれに従わなければならない、との返事でした。編集長の方の主張によると執筆依頼の際に、「独創的な内容」をお願いしている。雑誌としては、それは他には発表しないという前提での執筆依頼なのだそうです。わはは。みなさん。この雑誌に投稿すると知らないうちに著作権の一部を譲渡したことになるのだそうですよ。それを意識しないで、同じ文章を他に発表するのは全面的に著者が悪いとのこと。著作権以前の問題で、雑誌社、読者に対する裏切り行為なのだそうです。
こういう前提(原稿を渡すと同時に暗黙のうちに出版契約が成立して、出版社が独占的に著作物を頒布できることになる)は出版業界ではあたりまえなのでしょうか?そうなんだろうな。文章の立場にたってみれば、こんな雑誌に投稿されるよりは、もっと緩いライセンスで著者自身の管理するWWWサイトに掲載された方がよっぽど幸せだろうな、と思ってしまいます。
*1 作業しなくちゃ、ねぇ。
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