2010年06月02日(Wed) 『モバイルOS戦国時代』 [長年日記]
● ジーンズでも大丈夫なセミナー『モバイルOS戦国時代』に行ってきました。途中、無線LANがあるというスタバに寄ったら、ぜーんぶWEPなんですね。がっかり。会場についてみると、むっちゃスーツやん。他にも非スーツな方が何人かいらっしゃったので救われましたが。内容のメモは、たぶん、あとで下記に。手元のメモからの再現ですのでzundaの誤解が含まれている可能性が高いです。ご留意ください。
● 『MeeGoが拓く新しいコンピューティング環境』
インテル 下野さん
MeeGoはみーごと読むようだ。
2015年には150億台のデバイスが使われているだろうと予測し、異なるデバイスに共有のソフト/ハード/ネットワークといったプラットフォームが必要だろうと見る。MeeGoは2010年2月15日にバルセロナでインテル(Moblin 2007-)とノキア(Maemo)が合意して初まった共通プラットフォーム。1.0版は5月26日にリリースされ、ネットブックにインストールできる。これはMoblinでは2.2に対応する。今後は半年周期で新しいイメージをリリースする。
「ARMでもおっけーです。でも私が行ってるのでインテルということにさせてくささい。」対してMobliはIAアキーテクチャのみに対応していたとのこと。
アプリケーションの流通は、Intel AppUp (あっぷあっぷ) Center (米欧)で。
Clutter/GTK+も動くが、今後の開発はQt(きゅーと)で進める。QtはTrolltechが1984年に始めたもので、2008年にノキアが買収したのだそうだ。
ネットワークのはなし。PAN: ZigBee、BT、…、LAN: WiFi、…、MAN: WiMax、802.16eとn、WAN: 3G、LTE。
● 『Androidでさらに日本の組込み産業がやばい?』
すぎもてさん
μTron、Symbian、…、OMAP3530、Beagleboardとケータイに関わってこられたとのこと。
BeagleboardにWilcomのWSIMを組み合わせて、6人で半年かけて作ったケータイは2400mAHの電池で7分の待受時間を達成したとのこと。楽しそうだなあ。17枚買ったBeagleboardはチップセットがどんどん変化したそうだ。その後3.5Gの通信モジュールを使って作ったものは、1人2週間で通信に成功。「おっさんすごい」
さて。
日本の最高品質までリリースしない組込みに対して、西海岸のWeb系の人たちはβ版からどんどんリリースしていく。ここで台頭してきたのが汎化アードウェア。ハードウェアではなくソフトウェアで特化する。Foxconnなど台湾の汎化ハードウェアが強くなった。電気自動車など複雑な機構が不要な商品は人件費が高く高品質な国は不利。
汎化ハードウェアによって、メーカーの人は価格競争にまきこまれる。Androidはそれを加速させる。WindowsはPCだけを汎化させたが、ANdroidはすべての組込み機器にGoogleの無料サービス付きで入っていく。
重要なのはAndroidにはコンテンス配信システムかつ課金決済システムが付いていること。iPhoneはiTunesで入力させたクレジットカード番号をそのまま持って行くことで成功した。Google checkoutの最上級のGoogle Mobile Serviceを利用することで、中小企業でも課金決済システムを活用できるようになる。Google TVではGoogle自身がmobile以外にもAndroidを入れはじめた。
どうするべきか。西海岸の弱点をつく。あちらはまだまだブラウザの向こう側で特化ハードウェアに弱い。彼らの柔軟な発想に組み込み系の品質を併せる。
例えば、LTE(3.9G)。10年前の3Gの1/10の電力で動いている。今の3Gよりちょっと悪い程度。電池。体積あたりの容量は20年で2倍。クラウドサービス。データを置いておくのではなく、DSPや3Dレンダリングなどをどんどんサーバに移し手元のデバイスの消費電力を下げる。3Gのハンドシェイクが3秒かかるのに対して、LTEでは0.1秒。クライアントはさらにthinになりさらに安くなり、AppleやGoogleがばらまくようになる。
● 『Symbian FoundationによるSMP技術の取組み』
山下さん
Symbianはもとは会社だったがノキアに買収された。2009年2月にFoundation設立、IPがからむ部分は独立させて公開できる分はEPL (Eclipse Public License)で公開された。10万人年の開発リソースが投入され、3億台以上出荷されている。スマートフォンの47%で使用されている。
Symbian Foundationはボード会議/カウンシル/ワーキンググループ/一般会員の階層構造になっていて、ノキア外から初めてワーキンググープをたちあげた。
マルチコアのデバイス。周波数を上げると動作電圧を上げなければならないのでリーク電流が増え、消費電力が増える。低周波数でCPUを増やす方が有利。商用のマルチコアが客観的評価をするスペシャリスト向けなのに対して、組込用のマルチコアは主観的評価をする一般向け。
テクノロジートレンド。TIとかイギリスA社はSMPの技術は持っていない。ARM等組み込み用のLinuxの行数はまだ多くない。並列性の抽出、消費電力の制御、リソースの継承異常(バスへのアクセスの競合によるタイミングのずれなど)やキャッシュの管理などが課題。アムダールの法則によるとかなりの部分を並列化しないと効果が出ない。デバッガの開発なども必要。
組込日本のエンジニア。GDPは中国に抜かれて3位。ひとりあたりのGDPは20位前後で1位のルクセンブルグの1/3。しかしオープン化にのってこれから何かを手がけるチャンスですよ、とのことでした。
最近のツッコまれどころ