2005年11月19日(Sat) 結局一日中どきどきしていた [長年日記]
● イトカワの表面は100℃程度?
松井晋也のL/Dによれば、はやぶさはとても順調にイトカワにタッチダウンをする直前まで行ったのだけれど、最後に不可解なことが起きて、たぶんタッチダウンはできなかったとのこと。何が起きたのだろう?
それにしても、川口さんは「当初、そんなに長時間、イトカワ表面に滞在する計画ではなかったので。何度まで上がったかについては、推定はまだだ。表面が約100℃なので、100℃以上に上がった機器もあるかも知れない。」とおっしゃっている。表面というのはイトカワの表面のことだろうか。1AUくらいの距離で太陽からの光と輻射平衡になるのが300K(30℃)くらいだと思っていたので、イトカワの表面温度がそれ以上、というのはちょっと驚いた。僕は何か勘違いしてるのかな。
タッチダウンには至らなかったにしても、自律航法についていろいろな実績が得られたようだ。今後詳細なデータが降りてくればもっといろいろなことがはっきりとするのだろう。スムーズにタッチダウンできなかったのは残念だけれど、どんなことがわかってくるのか楽しみ。
● 月の昼は150℃くらい
ふくはらさんからツッコミをいただきました。そういえば学部の時に月の観測をして、昼は400K(130℃)夜は100K(-170℃)くらい、とか覚えた気がする。わはは。
勘違いのもとは、きっと黒体放射が全ての方向に出るのか、空の方向だけに出るのか、という違いじゃないだろうか。
黒体放射の強度は温度の4乗と放射の出ていく方向に比例する。地球の月の場合は、地中方向への熱伝導を考えないとすると、月の昼の表面から空の方向(全体の1/2)にだけ放射で熱が逃げていくことになって、温度は(1/2)-1/4〜1.2倍だけ高くなる。月のあたりでの輻射平衡温度が300Kだとして、300K×1.2〜360K。あとは表面の物質の波長による放射率の違いで説明できる…のかな?
そういうわけで、イトカワくらいの大きさを持ってる天体なら表面温度が輻射平衡より高くなるのは別に変なことじゃないようでした。僕は単純化しすぎた。
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