2005年10月25日(Tue) 今日締め切りの書類をこれから作る [長年日記]
● あーあ。
● 「はやぶさ」の位置制御に与える太陽輻射圧の影響
イトカワにとどまっている「はやぶさ」では太陽からの光の光圧が支配的な外力なのだそうです。へえぇ。
光圧というのは光子が物に反射された時に、作用反作用の法則で物に対して与える運動量(だったよな…)です。光圧は、光に対する断面積(大きさの自乗に比例する)に比例して大きくなるのだけれど、運動量から得られる加速度は物の質量(大きさの三乗)に反比例するので、小さいものほど影響が大きいのです。
惑星間空間をただよう塵については、光圧の効果を考えないといけないと信じられています。「ポインティング・ロバートソン効果」というもので、小さいダストは太陽の光の輻射圧によって、太陽に落ちてしまう…あれ?そうなんですよー。輻射圧で惑星系から外に飛びだしちゃうんじゃなくて、中心に落ちちゃうんです。ちゃんと計算してみると納得できたような気がするのですが、端的に書くと、ケプラー運動している(太陽の重力と軌道運動による遠心力がつりあっている)粒子に当たる太陽からの光子は、粒子の角速度を落とす向きに光圧を与えるので、粒子の軌道を内側へ内側へと移動させる、ということだったと思います。
でも「はやぶさ」はちゃんと太陽の逆向きに光圧を受けてるんだよねー。そもそもこんな大きなものでも光圧の影響が見える、というのが驚きだったのだけれど、光圧の作用の方向がなんだか逆な気がしちゃうのが不思議。これもちゃんと考えればわかるのだろうけど、見ているタイムスケールの違いだったりするのだろうか。あるいは「はやぶさ」の幾何学的な形の問題?
…謎は謎のまま書類書きをしなくちゃね。
● Acrobat Readerの選択ツールでURLを選択したら勝手にIEが起動した。信じられん。
● URLを選択しないでもクリックするだけでIEが起動されてしまうみたいだ。無効にするのはEdit-Preferences-GeneralでAUtomatically detect URLs from textのチェックを外す。
● 事情があってLinux上で作って使っていたツールをcygwinで使わなければいけなくなった。./confiugre;makeでうまくできた、さすがautotoolsと喜んでいたら、make checkが通らない。何がわるいのかしばらく悩んだのだけれど、テストが生成するファイルが、ファイル名の大文字と小文字が区別されないために上書きされていることがわかった。そんな罠があろうとは…。
ポインティングロバートソン効果か(遠い目…)<br>去年まで学部演習で教えてたが、結局なんとなくしかわかっていない…(教えるのがそんなんでええんかい!とつっこまれそうだ)<br><br>ポイントはたしか、<br>(1)粒子が光子を吸収すると角運動量は変わらない。だって、中心星からの光子は、そのまわりを回る円軌道にたいしては角運動量を持たないからね。でも、静止質量は光子のエネルギー分だけ増加する。<br>(2)そのあと、その粒子の(瞬間的な)静止系でその光子の分のエネルギーを(たとえば黒体放射で)等方的に再放射すると、静止質量が減少して、その分だけ角運動量も減少する。<br><br>と、特殊相対論的な議論をしていた気が。<br>乱暴に言ってしまうと、(2)の再放射は観測系では粒子の運動速度の分だけかすかにビーミングした非等方放射になっていて、それが角運動量を持ち去っている、ということかな?
おっと、結論を忘れた。<br>ということで、P-R効果はいったん光を吸収して再放射する、と言うのがポイント。<br>たとえば、光をそのまま反射してしまえばやはり外向きに光圧を受けるのではないでしょうか。
最近のツッコまれどころ